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米国補助人工心臓市場規模と成長予測

米国心室補助装置市場:成長の背景と今後の展望

米国心室補助装置市場は、心不全患者の増加や心臓移植のドナー不足を背景に、着実な成長を続けている分野です。Fortune Business Insightsの調査によれば、この市場の規模は2023年に6億2,540万米ドルに達し、予測期間中には年平均成長率(CAGR)9.7%で拡大していくと見込まれています。心室補助装置(VAD)は、機能不全に陥った心臓の働きを補う機械的循環補助(MCS)ソリューションであり、患者の体内に埋め込まれることで、心室から全身へと血液を循環させる役割を担っています。

心不全の増加が市場を押し上げる

米国では心不全の有病率が著しく増加しており、これが心室補助装置市場の成長を支える大きな要因となっています。疾病管理予防センター(CDC)が発表したデータによると、2020年には米国で約620万人が心不全を患っていたとされています。高齢化が進む社会では、心血管疾患にかかりやすい高齢者層の割合が高まっており、今後もこの傾向は続くと予想されます。

一方で、2020年のCOVID-19パンデミック期間中には、市場の成長がやや減速する局面もありました。感染拡大を抑えるために非緊急手術が一時的に延期されたことで、心室補助装置の需要が一時的に落ち込んだためです。しかし、その後は再び成長軌道に戻っています。

新製品の投入が相次ぐ

米国では冠動脈性心疾患をはじめとする心血管疾患の罹患率が著しく増加しています。CDCのデータによれば、2021年には米国で約375,476人が冠動脈性心疾患により死亡したとされています。こうした状況を受け、市場プレイヤーは心臓疾患による死亡率を効果的に抑制するため、新製品の投入に一層力を入れています。

その代表例として、2022年10月にABIOMED社が、右心室が肺へ血液を送り出せなくなる右心不全の治療用デバイス「インペラRPフレックス」について、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことが挙げられます。このような技術革新の積み重ねが、市場全体の競争力と信頼性を高めています。

最終治療としての採用拡大が成長を牽引

薬物療法だけでは改善が見込めない末期心不全患者にとって、心臓移植は重要な治療選択肢の一つです。米国臓器移植ネットワーク(UNOS)のデータによると、2021年時点で過去10年間に推定31,238件の心臓移植が行われました。しかし、心臓移植には冠動脈移植血管病変(CAV)、感染症、出血といった複数の副作用のリスクが伴い、プロセスも非常に複雑です。加えて、移植を待つ患者の待機期間は数年に及ぶこともあり、その間を機能不全の心臓のまま生き抜くこと自体が大きな困難となります。

こうした臓器提供者の不足と心臓移植に伴う複雑さから、代替治療への需要が高まっており、その受け皿として心室補助装置の採用が拡大しています。これらの装置は最終治療(DT)としても利用可能であることから、心室補助装置市場全体の成長を強力に後押ししています。

高額なコストが普及の壁に

一方で、市場の成長を抑制する要因も存在します。最大の課題は装置の高コストです。米国では、左心室補助装置(LVAD)の移植手術にかかる費用は、装置代と手術費用を含めておよそ17万5千米ドルから20万米ドルにのぼるとされています。心不全の有病率増加やドナー不足によって装置への需要は高まっているものの、こうした高額な費用が普及の妨げとなり、市場成長をある程度抑制する要因となっています。なお、2021年時点で米国では約760万人が心不全を患い、毎年約80万人が心臓発作を起こしているとされています。

セグメント別の動向

製品別に見ると、市場は左心室補助装置、右心室補助装置、両心室補助装置に区分されます。中でも左心室補助装置は2022年に大きな市場シェアを占めました。これは、体への血流を増加させることで腎臓、肝臓、脳など他の臓器の機能改善にも寄与し、患者の全体的な体力向上につながるという利点が評価されているためです。

血流タイプ別では、拍動流と連続流に分類され、2022年は連続流セグメントが市場を支配しました。連続流デバイスは血栓塞栓症の発生リスクが低く、高度な心不全患者に適した選択肢とされています。国立生物工学情報センター(NCBI)に掲載された2022年の研究では、連続流式VADである「HeartMate 3」の使用により、患者の生存率が58%向上したことが報告されています。

用途別では、最終治療(DT)、移植候補者への橋渡し(BTC)、回復への橋渡し(BTR)、移植への橋渡し(BTT)に分類されますが、移植への橋渡し(BTT)セグメントは予測期間中に最も高いCAGRでの成長が見込まれています。心臓ドナーの供給が限られていることや、心臓移植の待機時間の長さがこの成長を後押ししています。

エンドユーザー別では、病院・外来手術センター(ASC)が大きなシェアを占めており、政府や規制機関による病院インフラ投資の推進が、このセグメントの成長を牽引しています。2022年11月には、米国疾病予防管理センターが医療従事者やインフラの改善を目的に30億米ドル以上の助成金を交付するなど、官民双方による取り組みが市場を後押ししています。

主要企業の動向

米国心室補助装置市場には、確立された大手企業と新興企業が共存しています。中でもアボットは2022年に大きな市場シェアを占めており、製品提供の拡大に向けた戦略的な取り組みが強みとなっています。そのほか、ABIOMED(Johnson & Johnson Services, Inc.)、Berlin Heart、Jarvik Heart, Inc.などが市場で事業を展開しています。

業界動向としては、2022年12月にJohnson & Johnson Services, Inc.がABIOMEDを買収し、製品範囲の拡大を図りました。また同年11月には、Jarvik Heart, Inc.が製品ポートフォリオ強化のため、心室補助装置「Jarvik 2015」の臨床試験を実施しています。さらに同年8月には、アボットが左心室補助装置「ハートメイト3」を移植した患者の結果を発表し、生存率の向上とブランドの存在感向上につなげました。

まとめ

米国心室補助装置市場は、心不全患者数の増加、心臓ドナー不足、そして最終治療としての装置採用拡大という複数の要因が重なり合い、今後も安定した成長が見込まれています。一方で、装置導入にかかる高額なコストは依然として課題であり、この点をどう克服していくかが、今後の市場拡大のスピードを左右する重要な鍵となるでしょう。技術革新による装置の性能向上とコスト低減が進めば、より多くの患者がこの治療選択肢を利用できるようになると期待されます。

出典:https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E5%BF%83%E5%AE%A4%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E8%A3%85%E7%BD%AE%E5%B8%82%E5%A0%B4-107850

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