CBD配合菓子市場の成長と将来展望:2025-2032年の規模・シェア分析
近年、大麻由来成分のCBD(カンナビジオール)に対する消費者の関心が世界的に高まり、飲料、サプリメント、スキンケア製品など多様なフォーマットが市場に登場している。その中でもCBD配合菓子は、摂取が簡単でアクセスしやすく、幅広い年齢層から支持を集めており、市場規模が急速に拡大している。CBD配合菓子市場の最新動向と2025年から2032年までの長期的な成長見通しについては、Fortune Business Insightsの調査レポート「CBD配合菓子市場」で詳細が明らかにされている。
同レポートによると、世界のCBD配合菓子市場規模は2024年に44億1,000万米ドルと評価された。2025年には50億6,000万米ドルに達し、2025年から2032年までの予測期間中に年平均成長率(CAGR)16.41%で拡大し、2032年には146億7,000万米ドルに達すると予測されている。2024年時点では北米地域が全体の85.71%のシェアを占め、CBD配合菓子市場を圧倒的に支配している。
北米地域が市場を支配する背景には、米国を中心にCBD製品に関する規制が比較的早く緩和されたことが大きい。米国では2018年の農業向上法により、THC含有量が0.3%未満のヘンプ由来CBDの販売が連邦レベルで合法化され、これを機に大手食品メーカーやスタートアップ企業が相次いでCBD配合菓子のラインアップを展開した。さらに、消費者のCBDに対する認知度が高く、「ストレス緩和」「不眠対策」などの健康効果を期待して購入する層が拡大したことで、市場の成長が加速した。
カテゴリー別市場動向:グミが最大シェアを維持
Fortune Business Insightsのレポートによると、CBD配合菓子市場はグミ、ハードキャンディ、チョコレート、その他の4つのカテゴリーに分類される。2024年時点で最も大きなシェアを占めているのはグミカテゴリーで、全体の約45%を占めている。これは、グミが摂取量の調節が容易で持ち運びに便利であるだけでなく、果物風フレーバーや可愛いデザインなど、消費者に親しみやすいフォーマットであることが主な理由として挙げられる。
特に、「デイリーサプリメントとしてCBDを摂取したい」という消費者から、グミは高い支持を集めており、予測期間中にも最も高いCAGRで成長すると見込まれている。近年では、無糖・低カロリー仕様や、ビタミンやミネラルと組み合わせた機能性グミも増加し、健康志向の消費者層からの需要が拡大している。
次にハードキャンディカテゴリーは、全体の約20%のシェアを占めている。ハードキャンディは口腔内で徐々に溶解するため、CBDの粘膜吸収が速く、短時間で効果を感じられる点が特徴で、ストレス緩和を即座に求める消費者から人気が高まっている。また、チョコレートカテゴリーは、高級チョコレートブランドがCBD配合製品を展開することで、市場シェアが拡大している。欧米の大手チョコレートメーカーが、高品質なカカオとCBDを組み合わせたプレミアム製品を発売し、富裕層を中心に需要が拡大している例が多い。
「その他」カテゴリーには、クッキー、クラッカー、キャラメル、ケーキなどが含まれ、近年は製品の多様化が進んでいる。特に、ベジタリアン対応、グルテンフリー、有機原料使用など、特定のダイエットやライフスタイルに対応した製品が増加し、ニッチな消費者層から支持を集めている。
濃度別分析:CBD優位製品の成長が加速
CBD配合菓子市場は、THC優位、THC&CBDバランス、CBD優位の3つのカテゴリーに分けられる。2024年時点ではCBD優位製品が最大のシェアを占めており、全体の約60%を占めている。これは、CBD優位製品はTHC含有量が極めて少ないため、精神活性作用がなく、世界の多くの国で合法的に販売できることが主な要因として挙げられる。
また、「CBDの健康効果を享受したいが、THCによる影響を避けたい」という消費者の需要が高まっていることも、CBD優位製品の成長を後押ししている。近年の調査によると、CBD配合菓子の購入者の約7割が「THCを含まない製品を優先的に選ぶ」と回答しており、この傾向は今後も継続すると予測されている。
次に、THC&CBDバランス製品は、全体の約25%のシェアを占めている。このカテゴリーは、大麻が合法化されている地域(米国の一部州、カナダ、ヨーロッパの一部国など)で需要が高まっている。THCとCBDをバランスよく配合することで、相乗効果によりより高い効果を期待できるという認識から、慢性的な痛みや不安を改善したい消費者から支持を集めている。
THC優位製品は、全体の約15%のシェアを占めている。このカテゴリーは、大麻が全面的に合法化されている地域に限定されるため、市場規模の拡大は比較的緩やかとなっている。ただし、カナダや米国のカリフォルニア州などでは、医療用や娯楽用としての需要が安定的に成長している。
流通チャネル別分析:オンラインチャネルの成長が著しい
CBD配合菓子の流通チャネルは、オフラインとオンラインに大別される。2024年時点ではオフラインチャネルが全体の約60%のシェアを占めているが、予測期間中にはオンラインチャネルの成長率が高まり、2032年には両者のシェアが逆転する可能性があると予測されている。
オフラインチャネルには、ドラッグストア、スーパーマーケット、CBD専門店、健康食品店などが含まれる。特にCBD専門店は、専門スタッフによる製品の説明が受けられるため、初めてCBD製品を購入する消費者から高い信頼を得ている。また、米国や欧州の大手ドラッグストアチェーンがCBD配合菓子を店頭に導入する動きが進んでいることで、オフラインチャネルのシェアが維持されている。
一方、オンラインチャネルは、予測期間中にCAGR約20%で成長すると見込まれている。これは、オンラインショッピングが普及していることに加え、「CBD製品の購入をプライベートに行いたい」という消費者のニーズ、さらに多様な製品を比較して購入できる利便性が要因として挙げられる。また、国際的なeコマースプラットフォーマーがCBD製品の販売を解禁する動きが進んでいることで、オンラインチャネルのアクセシビリティが向上している。
地域別予測:アジア太平洋地域の成長が加速
2024年時点で北米地域が市場を支配しているが、予測期間中にはヨーロッパやアジア太平洋地域の成長率が高まると予測されている。
北米地域は、2024年に85.71%のシェアを占めているが、予測期間中には成長率がやや緩やかになると見込まれる。これは、市場が成熟化しつつあるためであるが、依然として大手メーカーの製品開発や新規市場への進出が進むため、安定的な成長が期待される。特に、カナダでは大麻の全面合法化が進み、CBD配合菓子の需要が拡大している。
ヨーロッパ地域は、予測期間中にCAGR約18%で成長すると見込まれている。これは、欧州連合(EU)がCBD製品の規制を明確化する動きが進んでいること、消費者の健康意識の高まりからCBD製品への需要が拡大していることが理由として挙げられる。特に、ドイツやフランス、英国などでは、CBD配合菓子の販売が急速に拡大している。
アジア太平洋地域は、予測期間中に最も高いCAGR約22%で成長すると見込まれている。これは、一部国や地域でCBD製品に関する規制が緩和される動きが見られること、消費者の健康意識の高まりからCBD製品への関心が高まっていることが主な要因として挙げられる。例えば、日本では2020年にヘンプ由来のCBD製品の販売が合法化されたことで、市場が徐々に拡大している。また、オーストラリアやニュージーランドでも、CBD製品の規制緩和が進み、需要が拡大している。
市場成長の主な要因と課題
CBD配合菓子市場の成長を後押しする主な要因として、以下の点が挙げられる。
まず、CBDの健康効果に対する消費者の認知度が高まっていること。近年の学術研究により、CBDがストレス緩和、不眠対策、慢性的な痛みの緩和などに効果がある可能性が示唆されており、これが消費者の需要を拡大させている。また、ソーシャルメディアを通じた情報発信が活発になったことで、若年層を中心にCBDの認知度が向上した。
次に、世界的なCBD製品に関する規制の緩和が進んでいること。多くの国で、THC含有量が一定以下のヘンプ由来CBD製品の販売が合法化される動きが進み、市場の規模拡大を可能にしている。
さらに、製品開発の多様化が進んでいること。大手食品メーカーやスタートアップ企業が、多様なフレーバーや機能を持つCBD配合菓子を開発し、消費者のニーズに応えている。
一方、市場の成長を妨げる課題も存在する。最も大きな課題は、各国の規制が不透明であること。CBD製品の規制は国ごとに大きく異なり、一部国では販売が禁止されている場合もある。これが、企業の国際展開を妨げる要因となっている。
また、品質管理の問題も課題の一つである。一部の製品では、表示されているCBD含有量と実際の含有量に差がある場合があり、消費者の信頼を損なう可能性がある。このため、国際的な品質基準の整備が求められている。
今後の見通し
CBD配合菓子市場は、今後も2032年までに年平均16.41%の成長率で拡大すると予測されている。特に、アジア太平洋地域の成長が加速し、オンラインチャネルのシェアが拡大することが見込まれる。また、製品開発の多様化が進み、ベジタリアン対応、無糖、機能性成分との組み合わせなど、消費者の多様なニーズに応える製品が増加すると予想される。
ただし、規制の不透明さや品質管理の問題は依然として課題となるため、企業は各国の規制を十分に理解し、品質管理体制を強化することが重要となる。今後、CBD配合菓子市場は、健康意識の高まりと規制緩和の動きを背景に、さらなる成長が期待される。