テレハンドラー市場の最新動向:2034年に99億3,000万米ドル規模へ
建設・農業・物流など幅広い産業分野で活躍する高所作業機械、テレハンドラー市場が世界的に拡大を続けている。テレハンドラー(テレスコピックハンドラー)は、伸縮式アームによって高所への荷役やアタッチメントの取り付けを可能にする多用途機械であり、建設現場から農業、石油・ガス、電力・公益事業まで多岐にわたる用途で利用されている。近年では、インフラ整備の進展や再生可能エネルギー投資の拡大を背景に、この機械への需要がかつてないほど高まっている。
市場規模と成長率
2025年の世界のテレハンドラー市場規模は53億1,000万米ドルと評価された。2026年には56億9,000万米ドルへ拡大し、2034年までに99億3,000万米ドルに達すると見込まれている。この間の年平均成長率(CAGR)は7.2%と予測されており、着実な右肩上がりの成長が続く見通しである。2025年時点ではアジア太平洋地域が世界市場の35.69%のシェアを占め、他地域を大きく引き離して市場を牽引した。
この成長を支える背景として、新興国を中心としたインフラ開発における技術進歩が挙げられる。高荷重能力と高到達距離を兼ね備えたテレハンドラーへの投資が世界各地で増加しており、例えば2015年2月には、インドのインフラセクターにおける需要拡大を受け、JCBが7~17メートルのリフト高さを備えた幅広いラインアップのテレスコピックハンドラーをインド市場に投入した事例がある。
日本市場の位置づけ
日本は、建設・物流・産業機械分野における高度な技術基盤に支えられ、テレハンドラー市場において戦略的に重要な地域と位置づけられている。作業効率化、安全性の確保、そして作業範囲の拡大に対する需要が、国内市場の成長を牽引している。国内企業は高性能な機械の開発や耐久性の強化、操作性向上を目的とした研究開発に積極的に投資を行っており、加えて政策面での支援や安全規制の整備が市場導入をさらに後押ししている。省力化・省エネルギー化・運用コスト削減も重要な成長要因となっており、グローバル企業との技術協力やパートナーシップの機会も広がりを見せている。今後も建設・物流業界における効率化ニーズの高まりとともに、日本市場のさらなる拡大が期待される。
新型コロナウイルスの影響
世界的なパンデミックは、テレハンドラー市場にも大きな影響を及ぼした。急激な感染拡大により製造業・産業部門は甚大な打撃を受け、2020年の世界市場は大きく落ち込んだ。先進国の建設・産業メーカーが発展途上国のインフラプロジェクトに投じてきた巨額投資は、突然のロックダウンと建設プロジェクトの停止により損失を被った。アジアや中東における天然ガスパイプライン関連プロジェクトへの投資も深刻な影響を受け、世界的な生産量・消費率にさらなる打撃を与えた。加えて、高額な機械の新規購入が減少し、多くの顧客が当面の間レンタルサービスの利用へと切り替える動きも見られた。もっとも、パンデミック収束後には需要・成長ともにパンデミック前の水準へと回復しつつある。
成長を後押しする要因
市場拡大を支える最大の要因の一つが、電動エンジン技術の普及である。世界各国で環境規制が強化される中、内燃機関から電動エンジンへの移行が加速している。例えばインドでは2019年に「国家クリーンエア計画(NCAP)」が始動し、大気汚染の防止・管理・削減に向けた取り組みが進められている。電動エンジンは建設現場における二酸化炭素排出量の削減にも寄与し、環境に配慮した作業環境の実現につながる。こうした環境意識の高まりが、電動テレスコピックハンドラーへの需要をさらに押し上げている。
また、改良型のテレスコピックハンドラーは人件費の削減や作業進捗の可視化を可能にし、運用コストの最小化にも貢献する。発展途上国における建設プロジェクトの増加も、高揚程機械への需要拡大を後押ししている。2019年4月には、ファレシン・インダストリーズ社がバウマ展示会において、6~17メートルの揚程と2.6~7トンの積載能力を備えた高技術の電動式テレスコピックハンドラーを発表するなど、各メーカーの技術革新も市場成長の追い風となっている。
成長を抑制する要因
一方で、建設機械は総じて高価であることから、多くの顧客が購入ではなくレンタルサービスの利用を選択する傾向が強まっている。世界各地で進行中の再生可能エネルギープロジェクトにおいても、低コストかつ投資効率に優れるレンタルサービスへの需要が拡大しており、これが機器そのものの販売・成長を一定程度抑制する要因となっている。
セグメント別の動向
タイプ別に見ると、市場はコンパクト、ハイリフト、ハイロードの3区分に分類される。コンパクトセグメントは、輸送のしやすさとコスト効率の高さから、近い将来もっとも高い成長率を示すと見込まれている。技術別では、電気セグメントが環境問題への関心の高まりを背景に最高のCAGRを記録する一方、内燃機関セグメントは長年の実績から当面最大のシェアを維持する見通しである。リフト高さ別では15メートル超のセグメントが風力発電プロジェクトや高層ビル建設向けに需要を伸ばし、リフト容量別では3トン未満のセグメントが建設・農業・物流分野での汎用性の高さから急成長すると予測されている。エンドユーザー別では、建設セクターが今後数年間にわたり市場を牽引する見通しである。
主要企業と地域動向
市場には、J.C. Bamford Excavators、Caterpillar、Doosan Bobcat、CNH Industrial、Manitou BF、Terex、Wacker Neuson、Liebherr、Skyjack、Haulotte、JLG Industries、コマツ、AB Volvoといった有力企業が名を連ねる。各社は研究開発への投資を通じて機器の性能向上を図っており、例えばマニトゥは内燃機関式テレハンドラーのハイブリッド化を進めている。JCBもまた新興国市場での事業拡大に注力し、2019年3月にはインド・グジャラート州の新工場設立に65億ルピーを投資した。
地域別では、アジア太平洋地域が新興国のインフラ整備・建設活動の拡大により最大かつ最速の成長市場であり続け、中でも中国は世界最大級の建設プロジェクト投資額を背景に最高のCAGRを記録すると予測される。北米は電力・公益事業、農業、輸送・物流分野への投資増加により2番目に高い成長率を示す見通しであり、欧州では特に農業分野において小型テレスコピックハンドラーの需要が拡大している。
以上のように、テレハンドラー市場は環境技術の進化とインフラ需要の拡大を追い風に、2034年に向けて着実な成長軌道を描くと見込まれている。